2011.04.17 Sun
ここ1週間ほど左下の奥歯近辺がじんわり痛くて気にはなっていたのですが、歳のせいか歯と歯の間に食べ物が詰まることがあり、その時の痛み方とよく似ているのでフロスや歯間ブラシで掃除をしてみるものの痛みは収まらずだんだん酷くなってきました。
自分のレントゲンを見て、「これは抜かなアカン・・・」
以前記事にしましたが、上の親知らずは昔勤務医時代に痛くなってそこの院長に抜いてもらったのですが、下の親知らずは特に何もなく現在に至っていました。上の親知らずが無いので下の親知らずは歯としての機能を果たしていないことと、強い痛みがあるので抜歯を決意しました。
そもそも歯の治療は子供の時と、上の親知らずと合わせて数回しか受けたことが無く、ある患者さんから「先生、それやったら患者の痛みとか治療の怖さとかわからへんのんちゃう?」と言われた事もあります。
この理屈は一瞬正しいように思えますが、そうなると整形外科医は骨折の経験がなければならず、糖尿病の専門医はせっせと甘い物を食べて糖尿病に、そして救急救命医は心筋梗塞をおこしてドクター・カーで運ばれなければならない、などというおかしな事になってしまいます。
でも自分が歯科治療を受けるとなると歯医者も人の子、やはり恐怖感はハンパ無いです(笑
まして親知らずを抜くなんて・・・
しかし待てよ、今日は金曜日、バイトの勤務医S先生がいるではないか!
抜歯の練習にもなるやろうし今日がチャンスかも・・・
「S先生!親知らず痛いから抜いてくれへんか?」
「えっ?院長の親知らずですか??」
「そやねん、自発痛が酷くなってきて我慢できへんねん・・鎮痛剤も効かへんようになってきたし・・」
「わかりました。ちょっと緊張します。。」
というわけで午後診ラストの患者さんの治療が終わるやいなやまず自分で表面麻酔。表面麻酔とは注射の針を刺す部分の歯茎に前もって専用の麻酔液を塗る麻酔のことで、うちの医院では子供から大人までほぼ100パーセント実施しています。表面麻酔でしびれた歯茎は注射の針を刺してもほとんど痛みを感じません。
そして大先生に注射の麻酔をうってもらいます。
表面麻酔をしてるので痛くないとわかっているものの、コワイデス。。
釣り針が指に刺さって取れなくなり、外科で指先にブチューっと注射をされた事があります。
ヘルニアがピークの時は診療の合間に院長室で腰に自分で痛み止めがわりの麻酔の注射を何度かうった事もあります。
でもそれらより今回の方が恐怖感が強く、冷汗が出てきます。
「麻酔かけますね」
「(キタ------------!!!!!!!)」
心の中で大騒ぎしたわりにはほとんど痛くなく、
「全然痛くないわ!!」
と、ひきつりながらも余裕顔(笑
そして数分待っていよいよ儀式の開始です。
「(クル------------!!!!!!!)」
まずヘーベルという器具を歯の根元に差し込んで歯を脱臼させるわけですが、ゴリゴリ、ガリガリ、と思ったより大きな骨伝導音が響きます。
うちの古くからの患者さんで、治療の度に自前のヘッドホンとウォークマンを持参されて音楽を聞きながら治療を受けられる方がおられますがやっと納得できました。。結構音が響くんや・・・
なかなか脱臼しないのか苦労してるようなので指示を出しますが、麻酔が効いてるのと口を開いてるのでちゃんとしゃべれません。
「へーへるgぁ入りやすいよふぉに歯ふぉけzって」
ヘーベルが入りやすいように歯を削って隙間を作ります。
再びゴリゴリ、ガリガリ。。
少し動いてきたようです。
「次ふぁ鉗子でyって」
鉗子はペンチのような器具で、歯をつかみながら歯を揺さぶり、さらに脱臼させます。
「うーむ。。」
鉗子でもあまり動かないようです。。
再びヘーベル→鉗子という手順を何度か繰り返すうち大先生曰く
「何か怖くなってきました・・・」
マスク越しの大先生の顔に焦りの色が見えます。
「アふぉか最ふぉまで集中しふぉ!弱音をふぁkな!!普ふうの患ひゃひゃんやと思ふぇ!(ちゅうか早く抜いてくれ・・・)」
「ハ、ハイ」
と、次の瞬間
「よっしゃ抜けた!抜けました!!よっしゃああああ!!!」
全身からスーっと力が抜けます。やっと抜きよったか・・・
治療台から降りてスタッフの顔を見ると何故かみんなニヤニヤ。
あるスタッフが
「痛くなかったですか?」
と訊くので長州小力のように
「全然痛くなかったスよ!全然っ!」
大先生に自信をつけさせないとダメですし恥をかかせるわけにもいきませんからね。
ホントはちょっと痛かったような気がしないでもないですが(笑
兎にも角にもありがとうです。
貴重な経験になりました。大先生ともども患者さんの日々の診療にフィードバックしたいと思います。
でも最後の親知らずが反対側にまだあるので気が重いデス(泣笑

自分のレントゲンを見て、「これは抜かなアカン・・・」
以前記事にしましたが、上の親知らずは昔勤務医時代に痛くなってそこの院長に抜いてもらったのですが、下の親知らずは特に何もなく現在に至っていました。上の親知らずが無いので下の親知らずは歯としての機能を果たしていないことと、強い痛みがあるので抜歯を決意しました。
そもそも歯の治療は子供の時と、上の親知らずと合わせて数回しか受けたことが無く、ある患者さんから「先生、それやったら患者の痛みとか治療の怖さとかわからへんのんちゃう?」と言われた事もあります。
この理屈は一瞬正しいように思えますが、そうなると整形外科医は骨折の経験がなければならず、糖尿病の専門医はせっせと甘い物を食べて糖尿病に、そして救急救命医は心筋梗塞をおこしてドクター・カーで運ばれなければならない、などというおかしな事になってしまいます。
でも自分が歯科治療を受けるとなると歯医者も人の子、やはり恐怖感はハンパ無いです(笑
まして親知らずを抜くなんて・・・
しかし待てよ、今日は金曜日、バイトの勤務医S先生がいるではないか!
抜歯の練習にもなるやろうし今日がチャンスかも・・・
「S先生!親知らず痛いから抜いてくれへんか?」
「えっ?院長の親知らずですか??」
「そやねん、自発痛が酷くなってきて我慢できへんねん・・鎮痛剤も効かへんようになってきたし・・」
「わかりました。ちょっと緊張します。。」
というわけで午後診ラストの患者さんの治療が終わるやいなやまず自分で表面麻酔。表面麻酔とは注射の針を刺す部分の歯茎に前もって専用の麻酔液を塗る麻酔のことで、うちの医院では子供から大人までほぼ100パーセント実施しています。表面麻酔でしびれた歯茎は注射の針を刺してもほとんど痛みを感じません。
そして大先生に注射の麻酔をうってもらいます。
表面麻酔をしてるので痛くないとわかっているものの、コワイデス。。
釣り針が指に刺さって取れなくなり、外科で指先にブチューっと注射をされた事があります。
ヘルニアがピークの時は診療の合間に院長室で腰に自分で痛み止めがわりの麻酔の注射を何度かうった事もあります。
でもそれらより今回の方が恐怖感が強く、冷汗が出てきます。
「麻酔かけますね」
「(キタ------------!!!!!!!)」
心の中で大騒ぎしたわりにはほとんど痛くなく、
「全然痛くないわ!!」
と、ひきつりながらも余裕顔(笑
そして数分待っていよいよ儀式の開始です。
「(クル------------!!!!!!!)」
まずヘーベルという器具を歯の根元に差し込んで歯を脱臼させるわけですが、ゴリゴリ、ガリガリ、と思ったより大きな骨伝導音が響きます。
うちの古くからの患者さんで、治療の度に自前のヘッドホンとウォークマンを持参されて音楽を聞きながら治療を受けられる方がおられますがやっと納得できました。。結構音が響くんや・・・
なかなか脱臼しないのか苦労してるようなので指示を出しますが、麻酔が効いてるのと口を開いてるのでちゃんとしゃべれません。
「へーへるgぁ入りやすいよふぉに歯ふぉけzって」
ヘーベルが入りやすいように歯を削って隙間を作ります。
再びゴリゴリ、ガリガリ。。
少し動いてきたようです。
「次ふぁ鉗子でyって」
鉗子はペンチのような器具で、歯をつかみながら歯を揺さぶり、さらに脱臼させます。
「うーむ。。」
鉗子でもあまり動かないようです。。
再びヘーベル→鉗子という手順を何度か繰り返すうち大先生曰く
「何か怖くなってきました・・・」
マスク越しの大先生の顔に焦りの色が見えます。
「アふぉか最ふぉまで集中しふぉ!弱音をふぁkな!!普ふうの患ひゃひゃんやと思ふぇ!(ちゅうか早く抜いてくれ・・・)」
「ハ、ハイ」
と、次の瞬間
「よっしゃ抜けた!抜けました!!よっしゃああああ!!!」
全身からスーっと力が抜けます。やっと抜きよったか・・・
治療台から降りてスタッフの顔を見ると何故かみんなニヤニヤ。
あるスタッフが
「痛くなかったですか?」
と訊くので長州小力のように
「全然痛くなかったスよ!全然っ!」
大先生に自信をつけさせないとダメですし恥をかかせるわけにもいきませんからね。
ホントはちょっと痛かったような気がしないでもないですが(笑
兎にも角にもありがとうです。
貴重な経験になりました。大先生ともども患者さんの日々の診療にフィードバックしたいと思います。
でも最後の親知らずが反対側にまだあるので気が重いデス(泣笑




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NO TITLE
お久しぶりです。
ドキドキしながら読ませていただきました。
抜いた後は大きな穴があいているんでしょうね。
親知らずの抜歯は、歯科医だけによくご存知なので怖かったでしょうね。(笑)
おだいじに・・・
ドキドキしながら読ませていただきました。
抜いた後は大きな穴があいているんでしょうね。
親知らずの抜歯は、歯科医だけによくご存知なので怖かったでしょうね。(笑)
おだいじに・・・
NO TITLE
アンクルンさんお久しぶりです。
コメントありがとうございます。
知らぬが仏、という言葉がございます。
知恵の悲しみ、という言葉もございます。
しかし知は力なり、という言葉もございます。
どっちやねん、という話ですが、
歯の治療だけはホントに怖いことは事実です(笑
まだじんわり痛みがありますが、日を追うごとに良くなっています。
この経験を日頃の治療に生かしたいです。
コメントありがとうございます。
知らぬが仏、という言葉がございます。
知恵の悲しみ、という言葉もございます。
しかし知は力なり、という言葉もございます。
どっちやねん、という話ですが、
歯の治療だけはホントに怖いことは事実です(笑
まだじんわり痛みがありますが、日を追うごとに良くなっています。
この経験を日頃の治療に生かしたいです。
FROM:luke55 URL 2011.04.19. Tue 13:30 [EDIT]
これですね。
うーむ、最初これ読んだときはわが身に関係ないことで
あははー、面白い、などとお気楽に読んでましたが、
自分の抜歯を控えた状態で読むと全く違う文章に見えます。
コワいです。
読まなきゃよかったかも・・・・。
ちなみに私は耳鼻科医ですが、
鼓膜切開されたことも上顎洞穿刺されたこともありません。
この間ウナギの骨は取ってもらいましたが・・・。
あははー、面白い、などとお気楽に読んでましたが、
自分の抜歯を控えた状態で読むと全く違う文章に見えます。
コワいです。
読まなきゃよかったかも・・・・。
ちなみに私は耳鼻科医ですが、
鼓膜切開されたことも上顎洞穿刺されたこともありません。
この間ウナギの骨は取ってもらいましたが・・・。
NO TITLE
>ロックな耳鼻科先生
鼓膜切開とか上顎洞穿刺とかの方がよっぽど怖いです!
他人に耳垢を取ってもらう時も大騒ぎするくらい怖がり痛がりな私でも
親知らず抜いてもらったんですから先生も大丈夫ですってw
抜歯後は是非記事にしてくださいね。
あ~楽しみです!
鼓膜切開とか上顎洞穿刺とかの方がよっぽど怖いです!
他人に耳垢を取ってもらう時も大騒ぎするくらい怖がり痛がりな私でも
親知らず抜いてもらったんですから先生も大丈夫ですってw
抜歯後は是非記事にしてくださいね。
あ~楽しみです!
FROM:luke55 URL 2011.08.09. Tue 21:19 [EDIT]