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大阪市東成区 森ノ宮・玉造の歯医者 須田歯科のブログ。臨床や臨床を離れた日常生活で見たこと・聞いたこと・感じたことなど・・

2008.08.21 Thu
健康保険の入れ歯は通常、アクリルレジン(アクリリック・レジン)というプラスチックの一種で作成されます。ケースによって異なりますが、耐用年数はだいたい10年以内、平均的には5年くらいでしょうか?もちろんこれより長い場合もありますし、短い場合もあります。

5年という期間は短いでしょうか?

健康保険の制約内での材料を使用し、負担金が高々1万円までで、体の一部になり、審美(見た目)、発音、咀嚼、嚥下などの役割をはたす物が5年もてば十分ではないでしょうか?同じように身につけるメガネやコンタクトレンズの耐用期間と費用(自費)を考えると決して高いものではないでしょう。

メガネやコンタクトレンズが視力の変化によって度数が合わなくなるのと同様、入れ歯も歯ぐきが痩せる事によって徐々に合わなくなります。この歯ぐきの変化は、病的なもの以外に老化現象の一つとして生理的にもおこります。

したがって入れ歯は新調してから、歯ぐきと接する部分を定期的に合わせる必要があります。合わせないで新調した時のままで使い続けると、歯ぐきが痛くなる、繊維性のものがかみ切りにくくなる、入れ歯かはずれやすくなる、割れる・・・など様々な不具合が出てきます。また、歯ぐき側も病的に痩せていくことがあります。

歯ぐきと接する部分を定期的に合わせることをリライニングもしくはリベースと言い、健康保険の範囲内でできる治療です。入れ歯の歯ぐきと接する部分にリベース用の材料を盛りつけ、口の中に戻します。数分経つと固まるので、不要な部分を削って研磨して終わりです。

この処置を半年~1年に1回程度続けるだけで、何もしなかったときに比べて、入れ歯の寿命が延び、歯ぐきの健康が保たれます。

前置が非常に長くなりましたが、今回は健康保険で作製した入れ歯をリベースすることによって、新調することなく約10年間、問題なく経過しているケースを紹介します。

「歯がグラグラしてかめない。抜いてほしい。」ということで平成10年に来院。上下とも歯が何本か残っていましたが、歯周病がひどく抜くしかない状態。しかし、すぐ抜いてしまうと歯が全くなくなって咬めないので、先に入れ歯を作り、抜くと同時に入れ歯を装着する「即時義歯」という方法を採用。50代男性。

上顎の入れ歯。今年6月、定期検診時の状態。銀色に見えるのは金属の補強線。
d200600.jpg
歯ぐきと接触する面。
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下顎の入れ歯。
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歯ぐきと接触する面。
d200603.jpg
上顎の入れ歯。別角度から。人工の歯(白い部分)がすり減っています。
d200604.jpg
同じく下顎の入れ歯。すり減った歯の溝を掘りなおしています。
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地層のように見えるのが「リベース」するたびに追加された部分。
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10年経つと歯ぐきもこれくらい痩せるわけです。
d200607.jpg
口の中での状態。
d200608.jpg

10年間、6か月毎の定期検診を欠かさず受けておられます。
その間、上の画像のように、状態に応じてリベースを行っています。
歯ぐき、入れ歯とも問題なく、食事も問題なくできるようです。

入れ歯は「モノ」のように見えますが、一度装着されると、全身の一部となります。
これが無ければ確実に咀嚼、嚥下、審美、発音などの機能は低下し、社会生活や
全身の健康にも影響が出るでしょう。

歯の健康を通じて全身の健康維持・増進に貢献する。
健康保険であろうが自費であろうが入れ歯であろうが天然の歯であろうが同じです。
歯科医療従事者が忘れてはならない使命だと思います。

参考:10年くらい経つと歯はどうなるのか?-メタルボンドの場合
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