2009.04.30 Thu
早いもので4月も今日で終わりです。今年も三分の一が経過ですね。
さて、鼻炎のような症状や、副鼻腔炎(いわゆる蓄膿)のような症状が出て耳鼻科を受診したものの、歯が原因かもしれないということで紹介されてくる事があります。
耳鼻科経由で当院に受診された方で、過去に神経を取ってある歯が原因と考えられるケースが今月は2ケースありましたので報告します。
「左(画像では右)の鼻がよくつまり、鼻水がよく出る。耳鼻科で歯科受診を勧められた」。50代女性。
鼻の横のあたりに上顎洞(じょうがくどう)という空洞があります。その底の部分が下のレントゲンでは白い線状に写っています(白矢印部分)。特に上顎の奥歯の根っこ部分は、この上顎洞の底に接近しているため、根っこの先に感染がおきると上顎洞に波及し、耳鼻科的な症状が出ることがあります。歯が原因の場合、「歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)」と言い、原因歯側の鼻に症状が出ることが特徴です。

画像をネガポジ反転。黒矢印のラインが上顎洞の底。上奥歯の根っこの先が左右とも黒矢印ラインに接近しているのがわかると思います。

上の赤矢印部分を拡大。白矢印が上顎洞の底のライン。根っこの形に沿って波打ったようになっています。4567とも過去に神経をとる治療を受けています。567に比べて4の根っこの先部分(赤矢印)に黒い影が出ています。4から上顎洞への感染が疑われます。まずは4の根管治療が必要です。統計的には6が最も上顎洞に接近していると言われています。

もう一つのケース。この方は両側の慢性副鼻腔炎があるそうですが、特に左(画像では右)の症状が強いとのこと。やはり耳鼻科で歯科受診を勧められ受診。50代男性。

上の白矢印付近のデンタルレントゲン。ネガポジ反転。白矢印が上顎洞の底。このケースも4567とも過去に神経を取る治療を受けています。4は根っこの先が上顎洞に抜けていないので無関係。7は根っこの先を綺麗に骨が取り囲んでいるので原因歯とは考えにくく、赤矢印の5か6が疑われます。打診痛といって歯を叩くと痛い事もあります。必要に応じてまずは根管治療。

歯が原因と考えられる歯性上顎洞炎は、上顎洞の底の骨に近接する部分の歯の根に感染が無いと原則として起こりえません。しかし近接している場合で、神経が死んでしまうようなひどい虫歯を放置したり、過去の神経を取る治療や根管治療が原因で感染し、発症する場合があります。
歯が原因の場合は、歯の根治治療(根管治療、歯根端切除、抜歯)も必要です。
いったん上顎洞に感染がおきると、なかなか治らない頑固な鼻炎や副鼻腔炎になる可能性があるわけで、入院・手術になるケースもありますから、虫歯や歯の治療歴など、心当たりのある方は歯科もしくは口腔外科での検査も受けられることをお勧めします。
いつも応援ありがとうございます!
さて、鼻炎のような症状や、副鼻腔炎(いわゆる蓄膿)のような症状が出て耳鼻科を受診したものの、歯が原因かもしれないということで紹介されてくる事があります。
耳鼻科経由で当院に受診された方で、過去に神経を取ってある歯が原因と考えられるケースが今月は2ケースありましたので報告します。
「左(画像では右)の鼻がよくつまり、鼻水がよく出る。耳鼻科で歯科受診を勧められた」。50代女性。
鼻の横のあたりに上顎洞(じょうがくどう)という空洞があります。その底の部分が下のレントゲンでは白い線状に写っています(白矢印部分)。特に上顎の奥歯の根っこ部分は、この上顎洞の底に接近しているため、根っこの先に感染がおきると上顎洞に波及し、耳鼻科的な症状が出ることがあります。歯が原因の場合、「歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)」と言い、原因歯側の鼻に症状が出ることが特徴です。

画像をネガポジ反転。黒矢印のラインが上顎洞の底。上奥歯の根っこの先が左右とも黒矢印ラインに接近しているのがわかると思います。

上の赤矢印部分を拡大。白矢印が上顎洞の底のライン。根っこの形に沿って波打ったようになっています。4567とも過去に神経をとる治療を受けています。567に比べて4の根っこの先部分(赤矢印)に黒い影が出ています。4から上顎洞への感染が疑われます。まずは4の根管治療が必要です。統計的には6が最も上顎洞に接近していると言われています。

もう一つのケース。この方は両側の慢性副鼻腔炎があるそうですが、特に左(画像では右)の症状が強いとのこと。やはり耳鼻科で歯科受診を勧められ受診。50代男性。

上の白矢印付近のデンタルレントゲン。ネガポジ反転。白矢印が上顎洞の底。このケースも4567とも過去に神経を取る治療を受けています。4は根っこの先が上顎洞に抜けていないので無関係。7は根っこの先を綺麗に骨が取り囲んでいるので原因歯とは考えにくく、赤矢印の5か6が疑われます。打診痛といって歯を叩くと痛い事もあります。必要に応じてまずは根管治療。

歯が原因と考えられる歯性上顎洞炎は、上顎洞の底の骨に近接する部分の歯の根に感染が無いと原則として起こりえません。しかし近接している場合で、神経が死んでしまうようなひどい虫歯を放置したり、過去の神経を取る治療や根管治療が原因で感染し、発症する場合があります。
歯が原因の場合は、歯の根治治療(根管治療、歯根端切除、抜歯)も必要です。
いったん上顎洞に感染がおきると、なかなか治らない頑固な鼻炎や副鼻腔炎になる可能性があるわけで、入院・手術になるケースもありますから、虫歯や歯の治療歴など、心当たりのある方は歯科もしくは口腔外科での検査も受けられることをお勧めします。






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