2009.01.24 Sat
以前親知らず、抜く?抜かない?という記事で、主として親知らずが腫れる原因とその治療法について書きましたが、今回はレントゲンを交えて、親知らずの生え方や虫歯のできかたについて書きます。
まず私のパノラマレントゲン。昨日撮りたてのほやほやです。歯科医が自分の口のパノラマレントゲンをネットで公開することってあまり無いかもしれませんねw 上の左右の親知らずは虫歯になり、痛みが出たので勤務医時代に抜いてもらっています。下は左右残っています(赤矢印)。また、患者さんの気持ちを理解するために、無麻酔で歯を削られる体験実習というのが学生時代にあり、虫歯の治療を学生同士でするわけですが、私の場合は適当な虫歯がなかったので健康な歯を削られw目立たない一番奥の歯(青矢印)の治療をしてもらいました。白く写っているのがその時の詰め物の痕跡です。上は抜きましたが下の親知らずは普通に生えてかみ合わせに参加しているので抜いていません。抜いた上の親知らず以外は虫歯はできたことが無くいわゆるノンカリエスです。

次の画像は上の左右親知らずが無いのは私と同様ですが顎が小さいため、下の左右親知らずが真っ直ぐ生えることができず横向けになっています。臨床的にはよくあるタイプで親知らずが腫れやすいケースです。たびたび腫れを繰り返すようであれば抜歯も治療の選択肢となります。

さて、親知らずは下より上の方が虫歯ができやすいと思います。歯を噛んだ状態で左手の人差し指の腹を上の奥歯の外側に覆うように置いてみて下さい。そしてゆっくり口を大きく開けていきます。すると顎の骨が出てきて指が挟まれる、あるいは押されるようになるはずです。下の奥歯で同様の事をしても強く押されるような感覚はおきません。要するに上の親知らずの周りはこのように口の開け閉めだけでも空間が変化するため、磨きにくかったり、汚れが溜まりやすかったり、唾液が届きにかったりするため、虫歯になりやすいのではないかと思います。
下はまさにそのようなケース。上下左右の赤矢印が親知らず。

上の画像の左右親知らずを拡大。上の左右親知らずの後ろ側に虫歯(赤矢印)。どちらも神経の近くまで虫歯が進行し、「しみる」という症状が出ていました。下の親知らずには虫歯はできていません。このようなケースでは、「痛みが出ている」「虫歯が再発する可能性が高い」「下の親知らずが傾いているので正常なかみ合わせではない」などにより、抜歯も治療法の選択肢となります。

同様に虫歯になっているケース。

拡大。虫歯が進行して神経に到達し、根っこの先に黒い影が見えます。感染している可能性が高いです。親知らずでなければ根管治療(こんかんちりょう)の適用となりますが、歯としての役割を果たしていないこと、器具が入りにくく根幹治療が困難などの理由にとり、このケースは抜歯が治療法となります。しかし実際は患者様の希望により抜かずに置いてあります。抜く抜かないは最終的には患者様の判断となるからです。

このケースは下が真っ直ぐと横倒し。普通歯は左右対称に生えますがこのようなケースもあります。右上(画面では左)の親知らずは口の中では歯ぐきの中にあります。左上は生えています。

その左上の拡大。やはり虫歯。下の親知らずと咬まないため、自浄作用が働かず汚れがたまり、虫歯になると考えられます。このようなケースも抜歯。

次は下の親知らずが下を向いて骨の中にあるケース。

左下を拡大。手前の歯の根っこに食い込んでいるように見えますが実際は外側(ほっぺた側)にあります。赤矢印側がかみ合わせ、白矢印側が根っこの先です。このようなケースは何か症状が出ない限りは放置です。

最後は10歳(4年生)の子供のパノラマ。この時期ですでに親知らずが発生し始めています(下:赤矢印、左上:青矢印)。親の知らないところで文字通り着々と親知らずが作られているわけですね。

しかし人間の体ってうまく出来ていますね。改めて感心します。
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まず私のパノラマレントゲン。昨日撮りたてのほやほやです。歯科医が自分の口のパノラマレントゲンをネットで公開することってあまり無いかもしれませんねw 上の左右の親知らずは虫歯になり、痛みが出たので勤務医時代に抜いてもらっています。下は左右残っています(赤矢印)。また、患者さんの気持ちを理解するために、無麻酔で歯を削られる体験実習というのが学生時代にあり、虫歯の治療を学生同士でするわけですが、私の場合は適当な虫歯がなかったので

次の画像は上の左右親知らずが無いのは私と同様ですが顎が小さいため、下の左右親知らずが真っ直ぐ生えることができず横向けになっています。臨床的にはよくあるタイプで親知らずが腫れやすいケースです。たびたび腫れを繰り返すようであれば抜歯も治療の選択肢となります。

さて、親知らずは下より上の方が虫歯ができやすいと思います。歯を噛んだ状態で左手の人差し指の腹を上の奥歯の外側に覆うように置いてみて下さい。そしてゆっくり口を大きく開けていきます。すると顎の骨が出てきて指が挟まれる、あるいは押されるようになるはずです。下の奥歯で同様の事をしても強く押されるような感覚はおきません。要するに上の親知らずの周りはこのように口の開け閉めだけでも空間が変化するため、磨きにくかったり、汚れが溜まりやすかったり、唾液が届きにかったりするため、虫歯になりやすいのではないかと思います。
下はまさにそのようなケース。上下左右の赤矢印が親知らず。

上の画像の左右親知らずを拡大。上の左右親知らずの後ろ側に虫歯(赤矢印)。どちらも神経の近くまで虫歯が進行し、「しみる」という症状が出ていました。下の親知らずには虫歯はできていません。このようなケースでは、「痛みが出ている」「虫歯が再発する可能性が高い」「下の親知らずが傾いているので正常なかみ合わせではない」などにより、抜歯も治療法の選択肢となります。

同様に虫歯になっているケース。

拡大。虫歯が進行して神経に到達し、根っこの先に黒い影が見えます。感染している可能性が高いです。親知らずでなければ根管治療(こんかんちりょう)の適用となりますが、歯としての役割を果たしていないこと、器具が入りにくく根幹治療が困難などの理由にとり、このケースは抜歯が治療法となります。しかし実際は患者様の希望により抜かずに置いてあります。抜く抜かないは最終的には患者様の判断となるからです。

このケースは下が真っ直ぐと横倒し。普通歯は左右対称に生えますがこのようなケースもあります。右上(画面では左)の親知らずは口の中では歯ぐきの中にあります。左上は生えています。

その左上の拡大。やはり虫歯。下の親知らずと咬まないため、自浄作用が働かず汚れがたまり、虫歯になると考えられます。このようなケースも抜歯。

次は下の親知らずが下を向いて骨の中にあるケース。

左下を拡大。手前の歯の根っこに食い込んでいるように見えますが実際は外側(ほっぺた側)にあります。赤矢印側がかみ合わせ、白矢印側が根っこの先です。このようなケースは何か症状が出ない限りは放置です。

最後は10歳(4年生)の子供のパノラマ。この時期ですでに親知らずが発生し始めています(下:赤矢印、左上:青矢印)。親の知らないところで文字通り着々と親知らずが作られているわけですね。

しかし人間の体ってうまく出来ていますね。改めて感心します。
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